『宇梶静江 古布絵展』を開催いたします。
宇梶静江さんのこれまでの創作をひとつひとつじっくりご覧いただけるように展開しました。
古布絵とは、古い和服地等を自由な発想で組みあわせアイヌの伝統的な刺繍をほどこしたもので、宇梶さん独自の工夫により生みだされたものです。
宇梶静江さんは1933年北海道浦河生まれ。アイヌとして生まれ、しかしアイヌとして生きることに苦悩しながら、人生の大半をアイヌの解放にささげてこられました。様々な困難にあって、絵を描くことや詩を書くことで自分を勇気づけてきたそうです。
そして、60才を過ぎてから“目で見るアイヌの叙事詩”を作りたいと思いたち、アイヌ伝統の紋様や刺繍・アイヌ文化の勉強をし直して現在の創作へといたります。
「涙が目鼻の奥から頭を通りぬけて背中へ流れるような悲しいこともあったけれど、ふるさとの海辺や野山を思うと心が明るくなる。いつでもウバユリやキノコが私を待っていてくれるような気がします。作品を作り終わると私自身は空っぽになってしまって何も言えません。とにかく出来上がったものを通して多くの皆さんとアイヌの自然と調和した豊かな文化を分かちあえることは喜びです」と宇梶さんはおっしゃいます。
丹念な手仕事で描かれたカムイ(神)の物語に身をゆだね、大らかで美しい世界をご堪能ください。またこの機会に、様々な命がつながり支えあうアイヌの智恵をより深く知るきっかけとなれば幸いです。
最後に、本展の開催にあたりましては、宇梶静江さんはじめ、渡辺眸さん、石田明子さん、(株)福音館書店、(有)ル・マルス、手づくり工房夢屋の皆さんにに大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。
<主な著書>
『トーキナ・ト アイヌの神話 ふくろうのかみのいもうとのおはなし』福音館書店
『セミ神さまのお告げ アイヌの昔話より』福音館書店
『シマフクロウとサケ アイヌのカムイユカラ(神謡)より』福音館書店
『アイヌの治造物語 思いはこずえからこずえにつなげて』同成社
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