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『谷中安規展 ちいさな世界』 明日4月19日から始まります

2014 年 4 月 18 日 金曜日

 

長い長い冬休みをいただいておりましたが・・・
明日4月19日から『谷中安規展 ちいさな世界』 が始まります。

 

谷中安規(たになかやすのり1897-1946) 猫のいる丸い街『王様の背中』内田百閒著 特装本 挿絵 木版 1934年

谷中安規(たになかやすのり1897-1946)
猫のいる丸い街『王様の背中』内田百閒著 特装本 挿絵
木版 1934年

 

2009年の夏に開催した展覧会以来、当館では5年ぶりのアンキさんの展示です。(谷中安規は「たになかやすのり」と読みますが、しばしば親しみをこめて「ヤナカアンキ」と呼ばれています)
この度は、30点ほどの作品を展開いたします。

前回の様子は当ブログの谷中安規タグ → http://www.philia-museum.jp/blog/tag/taninaka-yasunori から遡ってご覧ください。

 


 

『谷中安規 ちいさな世界』

会期:4月19日~6月30日
休館日:水曜日
開館時間:午前9時30分~午後5時
入館料:一般500円・小中学生300円
常設展:ケーテ・コルヴィッツ ミエチスラフ・コシチエルニアク
収蔵作品セレクト展:渡辺隆次 四竈公子

 


 

谷中安規は、木版の素朴な持ち味をいかした自刻自摺による創作版画(浮世絵のような分業ではなく、図案や彫り・摺りなどほとんどの工程を自分で行う)を制作。
内田百閒や佐藤春夫等の本の表紙や挿画で知られる。白黒の簡潔な画面構成で、幻想的な物語世界を描く。
その独特な作品世界と飄々とした谷中の風貌から、内田百閒より『風船画伯』と親しみをこめて呼ばれていた。

谷中安規(たになかやすのり 1897-1946)
1897(明治30)年1月18日、奈良県桜井市に生まれる。幼少期に母と死別。少年時代を朝鮮で過ごし、東京小石川の仏教系豊山中学に入学、文学に傾倒する。1922(大正11)年、永瀬義郎の『版画をつくる人へ』に影響を受け、版画家を志す。1932(昭和7)年、料治熊太が主宰する雑誌「白と黒」No.22に『冨士』を発表、以後ほとんど毎号作品を載せる。1934(昭和9)年、内田百閒『冥途』佐藤春夫『FOU』をはじめ本の装訂を多く手がける。1946(昭和21)年9月9日、死去。

 


 

風船画伯・谷中安規の不思議な世界をご覧ください。

八ヶ岳南麓もいよいよ春色にそまりはじめました。
ここ数日のうららかな陽気に、小淵沢支所や小淵沢中学校のソメイヨシノは満開、あちこちで芽吹きの勢いに満ちています。
ぜひお出かけください!

渡辺隆次展 at 新潟

2013 年 10 月 29 日 火曜日

 

新潟で開催されている二つの渡辺隆次さんの展覧会に出かけました。
新潟絵屋の主催する企画です。詳しくはこちらをご覧ください →  http://niigata-eya.jp/evint/ev-asyl.html 

 

まず、妙光寺。

妙光寺を訪れるのは初めてではありませんでしたし、
渡辺さんの作品もよく知っているつもりでしたが、
実際に中に入って、まず出迎えてくれた衝立の鮮やかな存在感に驚きました。
広々とした玄関によく映えます。
そして、お座敷に幾重にも置かれた屏風の色色にまねかれるように奥へ踏みいると
そこには次の間をもつらぬき広げられた墨絵の絵巻!見事でした。

わたしたちが訪れた日は、
日蓮聖人のご命日の法要『お会式(おえしき)』にあたり、
渡辺さんの特別なお話(聞き手:小川英爾ご住職)の場に参加させていただきました。

不意に現われ消えていく
「いま、ここで、目にしているものを二度と目に入れることはできないかもしれない」
きのこを中心とした八ヶ岳南麓の動植物を、日々描きつづける渡辺さん。
いのちの記録を「使命」としておられる切実さがつたわってきました。
菌類の生と死をつなぐはたらきとともに、様々なお話を伺いながら、
「絵」もまた、時を越えた「つなぎめ」であるのを感じました。

伝統のあるお寺であり、厳かな祈りの場である妙光寺は、同時に新しいものにも開かれているようです。
これから未来に受け継がれて、いずれ古きよきものとなるものをきちんと見極めておられる小川ご住職のまなざしもうかがえる貴重なひとときでした。

妙光寺の展示の様子 →  http://niigataeya.exblog.jp/21231225/

*フィリア美術館所蔵の作品も5点出展しています。 

 

そして、北書店。
展示点数は少ないですが、新しく強い感動がありました。

展示コーナーは、本棚の並んだお店の奥。
北書店は、絵も本も椅子もあって居心地の良い本屋さんです。
店主の顔が見える面白い本がいっぱい並んでいます。
もちろん渡辺さんの「山里に描き暮らす」(みすず書房)も。
この本には、新潟のことも八ヶ岳のこともフィリア美術館のことも出てきます。

北書店の展示の様子 → http://niigataeya.exblog.jp/21231506/

 

双方ともに見応えのある展示です。
ぜひお出かけください。

 

渡辺隆次『山里に描き暮らす』(みすず書房)

2013 年 9 月 3 日 火曜日

 

渡辺隆次さんのエッセイ『山里に描き暮らす』が、みすず書房から刊行されました。
〈大人の本棚〉シリーズの中の一冊です。

 

渡辺隆次『山里に描き暮らす』(みすず書房)

渡辺隆次『山里に描き暮らす』(みすず書房)

 

 

「この地に住まう者なら、獣とならび、刈っても伐ってもたちまち生えてくる草木の獰猛性に、一目も二目もおくはずだ。そんなことを身に滲みて感じるのも、 三十六年余にわたって山麓の変遷を、日々目にしてきたことにもよるのだろう。寄る年波からつい来し方行く末に思いがゆく。その結果自らの、よって来たる源あたりまでをまさぐり、埒もない多くを書き連ねてきた。八ヶ岳山麓といえば、いまや観光公園化して広く喧伝されるが、それがイメージさせるのとはやや異にした、インドアライフといった向きで、このエッセイ集を編んでみた。」(あとがき)

画文集『きのこの絵本』『山のごちそう』などでエッセイストとしても人気の絵描きが、消費とも生産とも無縁な「居候」としての人生を書き下ろす自由な文集。
みすず書房より

 

 

画家・渡辺隆次さんが、八ヶ岳南麓に暮らし、作品を製作しながら、感じたこと、思い出されたこと…などなどが綴られています。

渡辺さんとは、フィリア美術館の開館以前から交流させていただいていますが、文中、館の様子も触れてくださっています。
(フィリア美術館は1990年9月開館しました)

 

また、挿画として、〈胞子紋〉(きのこの胞子で描かれた紋様)の作品が、二点収録されています。

 

フィリア美術館でも取り扱っています。
サイン付き!

ぜひお手元に。

 


 

渡辺 隆次(わたなべ りゅうじ)
1939年東京八王子に生まれる。武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)本科・西洋画卒業、東京学芸大学養護科修了。1977年から八ヶ岳山麓長坂町のアトリエで制作を続ける。無所属。作品発表は主に個展。1992年より1999年まで武蔵野美術大学特別講師。エッセイストとしても活躍し、主な著書に『きのこの絵本』『山のごちそう』『八ヶ岳 風のスケッチ』(以上ちくま文庫)がある。2000年、武田神社(山梨県甲府市)菱和殿に山梨の草木鳥獣な どを描いた120枚の天井画を奉納、あわせて画文集『花づくし 実づくし―武田神社菱和殿天井画』全3巻(木馬書館)を上梓。2006年には武田神社能楽殿甲陽武能殿の鏡板を手がける。『山里に描き暮らす』(〈大人の本棚〉みすず書房、2013)。
書籍掲載のプロフィールより

 


 

  
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