新潟絵屋で開催されている『宇梶静江展』を拝見しに、新潟へ出かけました。
■ 『宇梶静江展』
6月2日~10日 午前11時~午後6時(最終日は午後5時)
会場:新潟絵屋(新潟市中央区上大川前通10番町1864 TEL&FAX 0252226888)
昨年の水と土の芸術祭に展示された、宇梶静江さんのフクロウの刺繍はすばらしかった。特に展示室入口の掛け軸の、もりあがった糸が、フクロウの体を包む羽そのものので迫力があった。
宇梶さんの古布絵(こふえ)※による絵本『シマフクロウとサケ』では、カムイ(神)であるフクロウが柄杓で海水を干上がらし、満たす。生きているのは森の野生動物であり、心に壮大な神話や物語や世界観を生み出す精神生物でもあるフクロウだ。木の根や幹や枝が変じたような力強い糸の表情に、宇梶さんが復権に尽力してきたアイヌ文化が、ヤマトが北に追い、抑圧してきた森の文化の血を引いていることを強く感じた。
80歳になるその宇梶さんに、無謀にも新作の個展をお願いした。仕上がってきた刺繍の翼の生命感と気品に息をのんだ。その芸術家魂の底から北の森や海や川の、それらと共に生きてきた人(アイヌ)の心の声が聞こえてくる。(大倉 宏)
※古布絵:アイヌの伝統刺繍をベースに古布と糸で作られた作品。
新潟絵屋公式サイトより
まず、市内の本屋さん・北書店で開かれたオープニング・イベント『宇梶静江トーク アイヌ(人間)を語る』に参加しました。
80才を迎えられた宇梶さん。
これまでの歩みとこれからの夢を熱く語られる姿は、以前お会いした時と変わらずに若々しく、
美しいものが大好きで、一生懸命に小さな人や弱い人の力になろうとしておられる様子が伝わってきました。
絵屋に飾られた宇梶さんの新しい作品は、全部フクロウがモチーフです。
展示の様子→新潟絵屋のブログ
ぜひご覧ください。
宇梶静江(うかじ しずえ)
■ 1933年北海道浦河郡アイヌの家庭に生まれる。20歳で中学を卒業後東京に行き苦学。結婚後は東京に来るアイヌのウタリの面倒を見ながら2児を育てる。 72年朝日新聞にアイヌの連帯を呼びかける投書をし反響を呼ぶ。アイヌの権利獲得の活動に挺身する。60歳をすぎてアイヌ刺繍を学び直し、和服ちと刺繍に よる古布絵でアイヌの精神世界を描く作品制作を始める。古布絵による絵本に『シマフクロウとサケ』『セミ神さまのお告げ』『トーキナ・ト』(いずれも福音 館書店)。2011年吉川英治文化賞受賞。水と土の芸術祭2012(新潟市)に参加。
■ 宇梶静江絵本原画展示
2013年 6月3日~9日 午前10時~午後8時
(6月8日 午後12時~ 6月9日 午後12時~3時)
会場:北書店(新潟市中央区医学町通2番町10-1ダイアパレス医学町101 TEL&FAX0252017466)
未刊行の絵本原画1点を展示します。
なお6月13~30日に新潟絵屋での展示作品の一部を北書店でも展示します。
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