八ヶ岳南麓はすっかり秋です。
玄関脇の小さな庭の木陰にホトトギスが次々に咲いています。
この花を見ていると松尾芭蕉の句を思い出します。
‘野を横に馬牽きむけよほととぎす(のをよこに うまひきむけよ ほととぎす)’ 芭蕉
ここで詠まれているのは野鳥のホトトギスですね。芭蕉は初夏の新緑の野(栃木県那須)に、ホトトギスの初啼きをきいて旅立ちの気持ちを新たにしているのであって、9月半ばの現在とは違った景色がこの句には展開しています。
しかし、ホトトギスの花が夏への「はなむけ」として咲いているのように思えてしまうからでしょうか。夏が旅立っていくのを見送る馬子の気分で、毎年暗唱します。
そっと咲く小さな秋の花。「紅葉の見頃はいつごろかしら?」なんて雑木の枝ぶりを見ながら歩くとうっかり踏んでしまいそうですが、足下の草花も見守ってくださいね。
カテゴリー: 草花