2009 年 9 月 8 日

実りの季節 谷中安規‘かぼちゃ忌’

こんにちは
そこらじゅうの小さな秋を数えながら
「もういいよ!」と呼ばれるのを待っている鬼の子です。
「まあだかい?」
返事がないなあ・・・。さーて、誰から捕まえようかしらん。

spacer

ご近所さんから、カボチャをいただきました。

おかぼちゃさま

アンキさんの装丁本コーナーのおかぼちゃ様 お供えみたいですね

薄く切ってお肉と炒めると美味しいそうですよ。でも、このマッキッキの黄色があまりにも美しいので、しばらく美術館のロビーに飾っておくことにしました。
皆さんの秋は食欲の秋ですか?芸術の秋ですか?

明日9月9日はアンキさん*の命日‘かぼちゃ忌’です。
八坂喜代さん(最晩年のアンキさんのお世話をしていた方です)のギャラリートークでの、ほんとうに最後の最後のアンキさんのお話を紹介します。

最晩年、すっかり動けなくなっていたアンキさんは、ある暑い日、八坂さんに「西瓜が食べたい」と言ったそうです。八坂さんはあちこち探しましたが、どこにも西瓜を見つけることができません。とにかくアンキさんに何かを持って帰ってあげたい一心で方々を歩き回ったあげく、ようやく葡萄を3房、求めることができました(あまりの嬉しさに動転して値段は忘れてしまったそうです)。
ほんとうにほんとうに暑い日で、日向に並べられていた葡萄も熱くなっていたので、冷たい小川の水で洗ってからアンキさんに届けると、ニコニコして受けとって、一つ一つゆっくり味わうように食べたのだとか・・・。

また、「9月になったら涼しくなって、きっと体調も良くなって、オカボチャ様も実るから、仕事に励みたい。佐瀬さん(八坂喜代さんの旧姓です)9月になったら教えてください」と繰り返し言っていたアンキさん。
しかしその言葉とは逆に衰弱していくアンキさんに対して、八坂さんは9月になってしまってからも本当のことを伝えることができずに、
「9月はまだ先だから、いまはゆっくり休んで体を治して」と声をかけたそうです。
そして、そのカボチャを口にすることなくアンキさんは亡くなったのです。

今年はカボチャの当たり年ですって。

* アンキさんとは、谷中安規(たになかやすのり 1897-1946) のことです。勝手ながら親しみを込めて呼ばせていただいております。

タグ:

カテゴリー: 未分類