きのう7月25日、ギャラリートーク「谷中安規をめぐって」を開催しました。
大野隆司さん(版画家)と瀬尾典昭さん(渋谷区立松濤美術館学芸員)、そしてアンキさんと親交のあった八坂喜代さんにお話しいただきました。
八坂さんは、本山ハウスというアパートで、アンキさんのお向かいの部屋に住んでいました。風変わりなアンキさんに声をかける隣人はいなかったそうですが、八坂さんは貧しいなかで様々なものを分かちあったそうです。また空襲でアパートを焼け出され後も、掘っ立て小屋生活となったアンキさんに、食料などをとどけ衰弱していくアンキさんを励ましました。八坂さんがいなかったら、晩年のアンキさんはもっとずっと困難を極めていたでしょう。
そしてアンキさんのお弔いや遺品の保管、死亡通知の発送などもふくめ最後の最後を見届け、そしていまに続くまで八坂さんはアンキさんを思いやってきたのがうかがわれます。第二次世界大戦中の東京の街の様子や暮らしぶりもふくめて、語り部・八坂喜代さんのお人柄のにじみでた素晴らしいお話でした。
お越しくださいました皆さん、有り難うございました。
この日は、できたてほやほやの本『谷中安規の事』( 八坂喜代・著 限定1,000部発行 たけしま出版 )が届きました。
お風呂代わりの洗濯場の話、ニュース映画の話、おかぼちゃ様の話、西瓜(葡萄)の話・・・。
アンキさんにまつわる様々なエピソードが綴られています。しかも八坂さんの直筆文字(活字ではない)を印刷し、大野隆司さんのエッセイ『猫のつめとぎ』と自摺り版画が2枚添えられた、アンキさんへの愛に満ちた素晴らしい本なのです。
ご来館の際には、ぜひ手にとってみてくださいね。
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