HOME > 展示 > 大坪美穂 展 −海界(うなさか)2010−

大坪美穂 展 −海界(うなさか)2010− 7月3日〜9月26日

大坪美穂展 海界(うなさか)2010 -インスタレーションを中心に-
2010年 7月3日(土)〜9月26日(日)

『大坪美穂展 海界2010 -インスタレーションを中心に-』は、『海界』をメインに『黒いミルク』『サイレント・ヴォイス』という三つのシリーズで構成されています。
2008年に高知県の香美市立美術館で発表されたものを基本とし、この度フィリア美術館の第一展示室の木造空間にあわせて新たに展開したものです。

いずれも幾つもの小さな部分(〈こより〉や〈布玉〉など、単純な手作業を根気強く繰り返してかたちづくられたもの)が連なって大きな一つを形成しています。
作者は、これまでの歩みの中でたくわえられた様々な命の記憶(身近な人の死・多くの犠牲をともなったテロや戦争)に、ヌーラやツェランの言葉にひきよせられながら〈かたち〉を与え、平和へのを祈りをささげています。 吹き抜けの空間いっぱいに展開する『海界』は、視点(上から下から近くから遠くから)によって見え方が異なり、また見る人の状況によって受け取り方も様々なものとなりましょう。山の中の小さな木造空間にこの夏限りであらわれた海にたゆたって、自分の内側に呼びさまされる感覚に身をゆだねてみてください。
山の彼方、海の向こうにどのような世界があろうとも、わたしたちは平和な未来をつむいでいけるように願っています。


大坪 美穂 (おおつぼ みほ)  略歴

1968年武蔵野美術大学油絵科卒業

●個展  
2010年  
山猫軒ギャラリー 埼玉(’01/’97)
   
フィリア美術館 山梨
   
ギャルリ・プス 銀座(’06/’03/’00/’98/’95)
2008年  
高知県香美市立美術館
2006年  
アートスペース繭 京橋
2004年  
ギャラリーすずき 京都
1999年  
森呼吸ギャラリー 山梨
1997年  
モリスギャラリー 銀座
   
荒井アトリエギャラリー 恵比寿
1996年  
シロタ画廊 銀座(’90/’88/’87/’83/’78/’71)
1993年  
アートギャラリーk2 六本木
1980年  
中野紅画廊 中野

●グループ展
2009年  
「視惟展」藤屋画廊 銀座(’08/’07/’06)
2006年  
「ノー・ウォー美術家の集展」神奈川県民ホールギャラリー(’04) 
2005年  
「今日の反戦展」原爆の図丸木美術館 埼玉
   
「ワックス・ワーク・サイト展」ギャラリー砂翁 日本橋
   
「アート・レジスタンス展」 山梨県立美術館県民ギャラリー  
2003年  
「人人展」東京都美術館
   
「CAT展」神奈川県グリーンホール相模大野多目的ホール
1999年  
「WORK'S99」横浜市民ギャラリー
1997年  
「ピヨンテク インターナショナル アートフェスティバル」韓国
1996年  
「ニューデリーインターナショナル アートフェスティバル」インド
   
「C・A・F展」埼玉県立近代美術館(’94/'90)
1989年  
「現代美術今立紙展」福井県今立トレーディングセンター
1988年  
「現代美術120人展」埼玉県立近代美術館
   
「花の表現展」埼玉県立近代美術館企画

 

一見平和にみえる日本の周囲はキナ臭いテロや紛争があちらこちらで起きていて、この光景は少女時代の私の中の風景と重なり、人々が日常生活をうばわれて、死んで行く現実を見過ごすことはできません。 私は戦後の荒廃した街の風景の中で育ちました。
東京の街に溢れる傷痍軍人、物乞いの人々の群れ、焼けた建物の残骸、赤土の原っぱ。街は再建のエネルギーに満ちていましたが、この茶色い風景は私の原風景となって、瞼にやきついています。 今回の展覧会はアイルランドの女流詩人ヌーラ・ニー・ゴーノルの詩「イムラム/航海譚」(大野光子訳詩)から発想を得ています。
ヌーラ・ニー・ゴーノルは神話の世界をかりて、現代に生きる人々の不安や精神世界とりわけ社会的に弱い立場にいる女性の側から、ゲール語で詩を書いているアイルランドを代表する国民的詩人です。 この展覧会ではヌーラの詩の断片をイメージして、世界各地で起きているテロや紛争で死んでいった子供たち、女性たちの無念の思いを残された人たちの悲しみと重ね合わせ、多くの方々の古着で作った布玉、7000本の和紙のこより、80脚の椅子を使って、平和を祈るメッセージをインスタレーションで表現します。 展覧会のワークショップでは、身につけていた古着、身近な家族の遺品の衣類等も持ち寄りその方たちを偲びながら「祈りのかたち」の布玉を作り、展覧会の作品作りに参加していただくことで、平和祈念のメッセージを共に発信していきたいと思います。
さまざまな年代の方に一人でも多く参加していただきたいと思っております。 私は一人の表現者として今の時代を生きる人々の不安や悲しみ、希望を形にすることで私自身も生きているリアリティを確信するものでありたいと願っています。

大坪美穂

会期中のイベント

7月31日(土)午後2時〜
アーティスト・トーク 美術評論家 光田由里氏をむかえて

参加費1,000円(入館料込)
会場で作品をご覧になりながら、美術評論家の光田由里さんとともに大坪美穂さんにお話をうかがいます。
作品がどのように生みだされたのか、作品にこめた作者の想いを知る機会となりましょう。
ぜひ、ご参加ください。


8月7日(土)午後2時〜
ワーク・ショップ 「祈りのかたち」布玉づくり

参加費 一般800円 小中学生500円(入館料込)
持参していただくもの:古着、ハサミ

大坪美穂さん指導のもと、「サイレントボイス」シリーズの展示の一部となる「布玉」を制作します。
手ずから形づくることで想いを伝える体験をしていただきます。表現を通して自分を解放し他者への理解を深めるきっかけとなりましょう。

「身につけていた古着、身近な家族の遺品の衣類等も持ち寄りその方たちを偲びながら「祈りのかたち」の布玉を作り、展覧会の作品作りに参加していただくことで、平和祈念のメッセージを共に発信していきたいと思います。
さまざまな年代の方に一人でも多く参加していただきたいと思っております。」(大坪美穂)

 

 

前のページに戻るこのページのトップへ